『自分』『自我』『自己』の違い

1.はじめに
これは以前「パーソナリティ障害の原因」のブログで記載していた項目ですが、本文が長くなるので別分けにしたものです。
自分、自我、自己、意外と明確な区分けが出来ている方は少ないのではと思っています。僕のブログや知恵ノートでのこれらの個人的見解を記載してみたいと思います。ヽ(〃´∀`〃)ノ
ちなみにフロイトが提唱する心的装置理論や自我、超自我、自我の機能と少し異なった解釈をしております。自己愛性パーソナリティ障害を回復させる為には心的装置の理解は不要と考えている為です。

2.自分と自我と自己の違い
①自分
存在の総体、私という存在全体。感情的・個性的を含む。自分自身と言い換え可能。

②自我
主観的に見た自分の精神機能。意識化出来ないものがほとんど。自我は自己を動かす機能で直接他者に係らない。自我機能と言い換え可能。

③自己
客観的に見た自分のイメージ。意識化可能。自我によって動かされ直接他者に係る。自己像と言い換え可能。

3.自我と自己
僕は自我と自己をあえて明確に分離して考えています。それは自己愛性パーソナリティ障害の克服には『自我』と『自己』の両輪の回復が必要と考えている為です。少し細かく記載してみます。

①『自我の発達』と『自己の成長』
自我の発達:快の取り込み不快の投影などの原始的機能から始まり生涯続く精神機能の成長。
自己の成長:親が自分の事を自己として扱う仮想自己の形成から始まり、重要な他者を取り込むことで生涯続く自己像の成長。

②『自我の形成不全』と『自己の損傷』
自我の形成不全:自我機能のいくつかが、幼い状態にある精神状態。
自己の損傷:自己のイメージとして必要なものが内部に確立されていない状態。

③『自我と自己の具体例』
自我の例え:感謝の心、罪悪感、償い、自己愛、など具体的な像が無いもの。
自己の例え:等身大の自己、理想の対象、などイメージ可能なもの。

④『自我同一性』と『自己同一性』
自我同一性:(=アイデンティティ)自分視点の自分定義集
自己同一性:(=パーソナリティ)他者からみた自分らしさ

⑤『自我同一性の確立』と『自己同一性の確立』
自我同一性の確立:(=アイデンティティの確立)私はこういう人間であると、本人自身が自覚していてそうあろうとする事。
自己同一性の確立:(=アイデンティティの確立)自我同一性の確立と同様。不思議ですがこれが最も矛盾しない理解です。

4.以下余談
僕は、フロイトの唱えた自我つまりegoは僕の定義する自己の大部分を含んだ総称で使っていたと思っています。その後精神分析学が進むと自我と自己を分ける必要が出てきたけれど、その頃には分派がいくつもあり色々な考え方がごちゃまぜで日本に伝わり、混乱を招いている。なんて思っています。〆(・ω・o)